閖上津波訴訟シンポジウムのレポート
5/11に仙台弁護士会館で行われた、閖上津波訴訟シンポジウムに参加してきました。およそ80名前後の方々が、この閖上津波訴訟の裁判をめぐる「これまで」と「これから」に関心を向けていました。たくさんのご遺族、不明者家族が思いを抱えて集まっていたと思われます。...
「取材者と被災者」を超えて
編集部の意向で本連載も終わりを迎えることとなった。復興の途上で連載を終えてしまうことに自責の念を禁じ得ないところだが、最後に現地で知り合った一人の男性との貴重な出会いを振り返ってみたい。 橋浦顕さんは宮城県名取市でタクシードライバーをしながら自らの被災体験を語る、語り部ドラ...
引き上げから見えた震災の本質
「諦めから生まれるのは絶望でしかねえ。」震災直後に放った豪放な言葉の通り、あの日から力強く震災復興に従事してきた男性がいる。宮城県名取市に住む吉田浩文氏。 私が彼のことを知ったのは、まだ多くの人が避難所に暮らしていた頃、「小学校で自ら身体に消火ホースを巻き付けて津波に飛び込...
『フクシマの嘘』が照らす日本の鈍さ
「日本の病巣のすべてが原子力ムラの中にある。」取材中、彼女の言葉に胸を打たれた。ドイツテレビZDFでプロデューサーを務め、本連載でも過去に取り上げた「フクシマの嘘」の制作に携わった西里ふゆこ氏。彼女を取材したのは、番組を見て二つの恥を感じたからだ。原発を巡る日本の癒着と汚職...
「取材者は復興を邪魔してはいけない」
4年目を迎える被災地の3月11日をどう切り取るか。本誌編集部からの課題に迷っていた私同様に、現地の記者たちも迷っていたようだった。 3月11日午前中、視界不良のため中止になった水中捜索の現場を離れると驚くべき光景があった。更地に基礎だけが残った土地に、震災遺族と思われる夫婦...
『フクシマの嘘』が突きつける恥
海外のジャーナリストたちが福島の原発問題に向ける眼差しは鋭い。ドイツZDFが描いた「福島のウソ」はその最たる例だろう。番組中で菅直人元首相は東電、政府、学者から成る「原子力ムラ」に対抗したために退陣に追い込まれた顛末を自ら語っている。勇気ある告発だと言える。...
震災番組からはみ出た「東日本大震災」
毎月のテレビ番組表を見ると東日本大震災関連の番組の数も、めっきり減ってきた。その印象は東北でも東京でも変わらない。メディアは語るべきドラマを語り尽くしつつあるのか、あるいは風化が進み視聴者が興味を失ったのか。 一方でそんな中、虚飾を排し淡々と震災を描き出す長寿番組もある。N...
復興の中の破壊に目を向けよ
私が被災地の取材を続けている理由のひとつは、現地で聞いた「復興イコール破壊なんです」という被災者の声が忘れられないからだが、つい最近もこの言葉を思い出す場面に出会った。それは行方不明者の家族の、複雑で多様な思いをヒアリングしているときのことだった。...
被災者を傷つけるマスメディア
震災直後、被災地に入ったメディアは現地の厳しい現実を伝えた一方で、不用意な言動で被災者や遺族を傷つけてきた。そう感じている人も少なくない。震災以降、子どもを亡くした震災遺族同士が気持ちを分かち合う「つむぎの会」を宮城県内各地で開催してきた田中幸子さんもその一人だ。...
知られざる捜索ボランティア
震災から3年半が経ついま、被災地内外の温度差は広がり続け、被災地外の人々にとって重要なことが伝わっていないケースもある。そのひとつが行方不明者の民間捜索ボランティア活動だ。 私が行方不明者の捜索のリアリティに最初に触れたのは2012年の春だった。警察や自衛隊の捜索が打ち切ら...